ボストンでガメてきたAmplifier誌で、彼らがそれぞれ3枚のフェイバリット・アルバムを解説つきで挙げています。
Didz Dan Jon Ben Tom Kieran
--------------------------------------------------
Didz
Primal Scream / XTMNTR
沸々と煮えたぎる政治的リリシズムが、奇妙で恐ろしげなシンセパート、そしてスティッフ・リトル・フィンガーズ以来最も尖ったロックンロールギターと融合されている。その混合物にマニのフルで図太いファズ・ベースを加えれば、耳の中に政治的な死の五線譜が軍隊となって現れる。
Arab Strap / The Week Never Starts Round Here
このアルバムは、素晴らしいアルバムを作るのに、何も3カ月かけて正しいスネアの音を探す必要なんてないってことを教えてくれた。実際、このレコードに「いい音」なんてまったく入ってないんだけど、クソのような現実を歌うエイダン・モファットのヴォーカルと、マルコム・ミドルトンのメチャクチャなSlintのテイクが、温かく光を放つ自動車事故みたいな感じで融合されてる。……いや事故ってよりは、ひどい車輪の跡って感じか。
The Beatles / White Album
1968年の段階において、どんなアルバムにも望まれるものがすべてここにある。インドに行って、ホームシックになって、神の使いだと思ってたものに裏切られると、ソングライティングにどう影響するのかってことを教えてくれるよ。
Dan
Weezer / The Blue Album
今まで作られたうちで最も偉大なポップ・レコードだね。どの曲もウィットと乾いた笑い、メロディックなロックの才能に溢れてる。シンガーはstatsoで、ヒゲモジャで、変人で、怪しげなマッサージと日本人の女の子にハマッてる。ギタリストはストロークスのメンバーのガールフレンドを盗んだし。彼らはそんな風に素晴らしい。
DEUS / In a Bar Under the Sea
どう考えても、今まで作られた最も偉大なレコードだね。僕の葬式でかけてもらいたいよ……それも7回! もし先見の明があったら、誕生の瞬間用にもリクエストしたのになあ。狂気とインスピレーションに満ちている。美しくも破壊的なアルバムだね。
Sonic Youth / Daydream Notion
ユニークで影響力の大きいバンドの、抽象的でマジカルな、最も優れたアルバムだね。
ロックがこんなに生々しく、オリジナルに響いたことはない。君の頭をぶっ飛ばし、引きこんで、二度と離してはくれない。
Jon
Sonic Youth / Dirty
十代始めの頃、僕はヒップホップをたくさん聴いてたんだ。姉貴のボーイフレンドからガメたこのアルバムは、すぐにオルタナティブの世界に引き戻してくれたよ。キム・ゴードンのヴォーカルが素晴らしい。ベスト曲は「Orange
Rocks Angels Spit」だね。
Public Enemy / Fear of a Black Planet
チャックDは主に、若いブラック・アメリカンのコミュニティに対する不満について語ってるわけだけど、
恐れや無関心、人種差別や憎しみといった、誰にでも当てはまるものも中には含まれている。ビートも素晴らしい。ベストなのは「Can't
Do Nothin'」 と「911 is a Joke」。
The Clash / London Calling
これも意見を持ち、それを吐き出すバンドだ。 スタイリッシュで、リアル。この5年、僕はどんどんロックにはまっていっている。このアルバムはただ完璧としか言いようがない。
Ben
Klaftwerk / The Man Machine
記憶する限りでは、生まれて初めて聴いたアルバムだよ。父がいつもかけていて、最初は大嫌いだったんだけど、次第に好きになって行ったんだ。聴くたびに、何かが新しい。未来のサウンドっていうだけじゃなく、どこか遠い、メチャクチャな場所から来た何かの音、という感じだ。クラフトワークがいなかったら、ダンス・ミュージックは今僕らが知っているものにはなっていないし、存在すらしなかったかもしれない。
Massive Attack / Mezzanine
このアルバムは僕を恐怖に陥れる。パラノイアを幾層にも重ねて、人間の気分を悪くさせる方法を知っている。
ベストアルバムではないにしても、「90年代を代表する1枚」ぐらいの評価はつけるね。他のレコードではあり得ない方法で、衝撃的なんだ。リズムは狂気じみているし、ボーカルの密な感じが、緊張感を高めていく。ドラッグをやっているときこのアルバムを聴くなら、注意しなきゃね。
Pink Floyd / Dark Side of the Moon
今まで聴いた中で、最も時代を感じさせないアルバムだね。いつ聴いても、初めて聴いた時のように、どの曲も新鮮なんだ。ソングライティングと、ムードのバランスには、ケチのつけようがない。ただただパーフェクト。
Tom
Chemical Brothers / Dig Your Own Hole
これは発売された時に一度買ったんだけど、ヒドイと思ってすぐ返品しちゃったんだ。でも去年買い直してからは、ずっとステレオにかかりっぱなしになったよ。このアルバムが連れて行ってくれる旅、そしてさまざまな障壁を押しのけて行く感じがとても気に入ってる。
Nirvana / In Utero
このアルバムもすぐに好きにはなれなかったね。でも曲に合わせてリズムを刻んでた。最初に引きつけられたのはドラムだったんで。デイヴ・グロールは絶対に僕のアイドルだよ。「Milke
It」には聴くたびにインスパイアされる。このアルバムと一緒に成長していくのは、とても素晴らしかった。「十代の怒り」みたいなのを表現するのにとても役立ったんだ。他のたくさんのティーンエイジャーと同じようにね。そしてこれから先も世話になるだろう。
Beck / Odeley
ベックのやってきたことには全て、何かしら影響を受けてきたんだ。アヤシイ、80年代的なエレクトロ・ミュージックから「Sea
Change」の涙がドバーって出ちゃうような美しい瞬間まで。Odeleyは最初に聴いた彼のアルバムなんだけど、まだまだ今の音楽のほとんどより、頭から肩ぐらいまで先を行ってるよね。
Kieran
Tortoise / Million Now Living
素晴らしいベース・サウンドと魅力的なインストゥルメンタル・アレンジを求めて、僕はいつもこのアルバムに帰っていく。
トータスはいつも楽器の使い方に関するインスピレーションを与えてくれて、このアルバムにもそれが現れてる。
Deus / Worst Case Scenerio
このベルギーのバンドは、激しくロックしながらも、重厚なバイオリンによる素晴らしいリフを組みこむことに成功してる。彼らの曲の多くには素晴らしいメロディと歌があって、僕たちのバンドにとって、大きなインスピレーションの源となっている。
The Beatles / Abbey Road
僕が最初に聴いたビートルズのアルバムで、いまだに好きだね。どの曲も違って聞こえるし、それぞれ冒険があるから、何回でも聞き返してしまう。世界で最も偉大なバンドが、頂点にあった時の作品だ。
|