Ben全米ツアー前インタビュー 

 

クーパーを作り上げたのは実のところ父親たちだった……。ここでBenが語ってます。

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Q: みんな、どれくらい一緒に演ってるの?

Ben: 同じ学校に通ってて……もう6年近くなるかな。Tomと僕は12の時からの親友どうしでね、その頃はグランジをたくさん聴いてたな。ニルヴァーナとか、スマパンとか、あと、ブラーとかレディオヘッド、オアシスみたいなブリットポップ系とね。その後自然と楽器を手にしてプレイし始めたんだ。他の連中は、友達を介してとか、共通 の知り合いがいたとかいう感じで加わっていった。12の時の僕らといったら、とにかく歴史上初ぐらいヘヴィなバンドでね、ボストンみたいな。幸いライブは演らなかったけど。

Q: メンバーには、音楽的な素養ってあったりするんだろうか。それとも家族が才能の開花を促してくれたとか。

Ben: 俺たち6人がバンドを始めたのはたぶん、父親たちのお陰だね。どいつの親父もみんな音楽狂で。屋根裏に行っちゃあ、父親たちが集めた変なビニール盤がないもんかと探してたよ。どの父親にも健康的なことにみんなロックン・ロールへの情熱があったんだね。

Q: レディング近郊に住んでたってことは、やはりいつもフェスには行ってたのかな?

Ben: 14くらいのときから、毎年行き始めた。バンドをやりたくなったのはそのせいもある。だって、本当にいろいろなタイプの、一流のバンドが毎年自分たちの地元に来るわけじゃん。それに影響されない方が難しいんじゃない。うちのバンドはかなりレディング・フェスに影響されてできたと思うよ。

Q: 1990年代中頃のDJカルチャーや、ダンス・ミュージックにも同じように傾倒した?

Ben: もちろん。今頃になって、俺たちは電子音楽好きだったって発見してるところなんだよ。Warpレーベルのものはみんな好きだね。TomとKieranはボーズ・オブ・カナダ、エイフェックス・ツイン、スクエアプッシャーに入れ込んでる。5〜6年前は、ケミカルとかプロディジーがイギリスで最もビッグなバンドだったわけだし、そういうバンドに開眼させられたというか。今ではクラフトワークやNeu!とか、Krautorockみたいなものまでに戻って聴いてるよ。

Q: 年上のバンドと一緒にやることもあるの?

Ben: 数カ月前、ローリングストーンズと演ったんだけど、なかなかシュールだったよ。まさかストーンズと一緒のステージに立つなんて、夢にも思わなかったからさあ。すごく恐れ多いっていうか、スペシャルな体験だった。ダブリンで一緒にショウをやったんだけど、歴史に残る名曲を書いてるのに、バックステージではすごくビジネスライクでね。何もかもきちんと整理されてるんだ。誰もが頭の中では思うじゃん、夢みたいに……ストーンズってのは、元不良少年の集まりで、反体制的なバンドだって。でも一緒にツアーしたら、そんな幻想ぶっ飛んじゃったよ。あれくらいの規模のツアーをこなすようになって、しかも長い間やっていたら、仕方ないんだろうとは思うけど……。ひとりずつ別 々のツアーバスに乗るんだぜ、しかも、バスの中で一夜を過ごすなんてことはないんだ。

Q: 君たちはツアーはいつも何人で回るの?

Ben: 基本的に僕ら6人。あとTomのシンセの手伝いにどうしても何人か必要でね。クルー全体だと8〜9人いるんだけど、それは大きなステージで演るときだけで、小さなクラブだったら、もう1人くらいいれば大丈夫だよ。2004年にアメリカで演るのが楽しみなのは、そういう極小のクラブでやれることだね。大きなヴェニューに移っていくと、どうしても小さなクラブの親密な雰囲気が恋しくなるんだよね。

Q: じゃあ、NYでやったCMJがアメリカ初のライブだったわけだ。

Ben: うん。NYでショウを一回やっただけでね。ちょっとやって帰ってきた感じ。でもすごく楽しかったよ。ずっとアメリカに来たくて、西海岸も東海岸も見たくて、行ける所ならどこでも行きたかったんだけど、とうとうNYでやれて良かった。びっくりするほどの反応が返ってきたしね。僕らのことは知られてないだろうと思ったけど、実際知ってたしね。曲も。出会った人すべてから、熱狂的に迎えられた。3月には4週間ツアーをする予定なんだ。

Q: ライブの評判は聞いてたんだけど、イギリスのバンドすべてがアメリカまで来るわけじゃないからね。

Ben: 元々、クーパーはライブバンドなんだよ。客が2人であろうと、2000人であろうと、1万人であろうとね。毎晩変わらないんだ。ステージに出て、同じ情熱を持ってプレイすると。たた突っ立って、つまらなそうに、できたらどこかへ行って別 のことをしたいと思ってるような顔してるバンドがいるだろう、そういうのとは僕たちは違うんだ。聴きたい人に生で聴かせるのがとにかく好きなんだよ。

Q: アメリカにやってくるイギリスのバンドっていうとややソフトなタイプのバンドが多いような気がしてたけど、クーパーは僕たちが想像してたよりややハードだよね。

Ben: うん、だろうね。それがバンドを始めた理由のひとつでもあるし。20〜30年前のバンドをパクッてるだけで、新しいものは何も持ってないような新人バンド、そういう奴らのイメージをぶち壊したかったんだ。もっと音楽を先の時代へ勧めたかったし、新しいことを発言してみたかった。他のバンドより自分たちの方がいいなんて言うわけじゃないし、ただやりたいことをやっているだけさ。自分たちが好きで、いいと思うことをやっているんだよ。僕らのショウは、エネルギーに満ちてるし強烈だし、何より正直なんだ。演奏できてとてもラッキーだし、しかも聴いてくれる人がいるなんてとてもラッキーだと思う。

Q: このアルバムはいつレコーディングを始めたんだい?

Ben: 2002年の10月に初めて、2003年の5月に終わったんだ。スタジオを建てたんで、早く仕上がったね。その頃ちょうど曲も書いている途中で、スタジオが出来上がった時には20曲とか持って入ったわけじゃなく、何もない状態だったんだ。農場を改造して、自分たちの世界を作り上げたんだよ。隣の鉄工所の音が聞こえるなんて思いもしなかったし、スタジオにふさわしい場所かどうかも確かじゃなかったんだけど、アルバムにぴったりの雰囲気を、スタジオが作り上げたと思う。(建設には)大体、8カ月くらいかかったかな。

Q: 曲はどうやって書くの?

Ben: それぞれの曲によって違うね。これっていう方法とか、決まったルールってのはないんだ。6人ともが曲を書くし。誰か1人が、曲のアイデアを持ってくることもあれば、ジャムって出来上がることもある。3〜4人で作ることもある。いろいろなんだよ。誰かひとりが突っ立って、どんな音にするべきか指示するわけじゃなく、全員が曲を書くっていうのが、僕たちの強みじゃないかな。各人の音楽の好みが全く違ってて、それを一緒にしようとしてるわけなんだ。みんなが納得いく方法で、大音量 で押しの強い音を作り上げていくようにしてる。

Q: ある曲でひとつの世界を歌ったと思えば、別の曲ではまったく違う場合があるよね。それってどうしてなんだろう。

Ben: さあね。たぶん僕たちの頭がぶっ飛んでるからじゃないかな。人里離れたとこにぽつんとある農場に閉じこめられてるから、そういうことも起こるんだよ。どの街からも3マイルずつ離れてれば、頭の中もねじくれてくるさ。そんな感じで曲を書いてるわけで、どうしたらそんな風になるかなんて、説明できるわけないよ。それが僕らには自然だってだけで。誰かに変な曲だって言われたって、どうしようもない。僕らにはそれが正しい音なんだしさ。

Q: アルバムのタイトルはフィリップ・ラーキンにあやかったものだそうだけど、どうしてこのタイトルを選んだんだい?

Ben: バンドに6人もいるとさ、何かにつけて、意見がまとまるまで大変なんだよ。Fisherがフィリップ・ラーキンの本を読んでいて、あいつの頭にその中の詩の1行がこびりついてたんだな。アルバムが半分仕上がりかけた頃、彼がそれを提案したんだけど、その時はみんな、長すぎねえか? って思ったんだ。でもアルバム制作が終わる頃になって、タイトル候補を並べてみたときに、同じタイトルがまたぽろっと出てきて、その頃にはもっと意味を含んでる感じがしたんだよね。実は『Blind Pilots』と『Music Box』のイメージも、このタイトルに関係してるんだよ。で、今度はCDの背の部分にタイトルとバンド名が一緒に入るかなって心配になってきてさ。らしいって感じがした。僕らって大体、いつもあとで何かのツケをはらうことになるからさ。

Q: 君がすべての曲を書いてるのかい?

Ben: いや、以前はFisherがメインに詞を書いてて、今kieranと僕が参戦し始めたところ。Tomはもういくつか新曲を書き上げたよ。大体、自分たちの個人的な経験や、自分たちの知っていることを書くね。それ以外のことを書くのは、なんかしっくりこないんだ。ファーストアルバムはロンドンから15マイル離れた、若者には何もすることがない、イングランドの衛星都市で育った自分たちについて書いた。セカンドは、友達や家族といった、周囲の人々について多く書いてる。サードアルバムでは何をしてて、どんな方向に行ってるか、なかなか楽しみだと思うよ。

Q: Didzって最近病気したんだって?

Ben: うん。去年のクリスマス(>もう一昨年ですね)、サンドライ・トマトを食い過ぎてね。盲腸を摘出しなくちゃならなくて。でも病状はそれより深刻だったんだ。本当に病気になって、3ストーン(18kg)も体重が減ってさ。医者に、もしかしたら彼は死ぬ かも知れないって宣告さされたんだけど、本人は信じなくてね。それがアルバムの製作の本当に真っ最中だったんだ。病室でデモ・テープをかけてやったよ。彼の意見が聞けてよかった。あの頃はちょっと恐ろしい時期だったね。

Q: 最近何か本を読んだ?

Ben: ゴシック・アドベンチャーものにはまってた。ドラキュラとか、フランケンシュタインを読んだよ。どっちもがっかりしたね。39階段ってのも読んだ。読みやすかった。FisherとKieranはロシア文学にはまってる。何千ページっていう分厚い本なんだけど。

Q: 何か最近見た映画の中で、面白いものあった?

Ben: こないだ、めちゃくちゃひどい映画は見たけど。The Transporterっていう。イギリスの俳優が、アクション・ヒーローになろうとしてるんだけど、ひっどかった。グーニーズとか、バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいな、自分のフェイバリットものに匹敵する映画にはまだ出会ってないね(>この人、マジですか?)。僕らはみんな80年代映画のファンなんだ。イギリスではクリスマスの頃必ずバック・トゥ・ザ・フューチャーを(たぶんテレビで)やるんだよ。

Q: 過去に一緒に演って、好きになったり、いいなと思ったバンドってある?

Ben: いくつかあるね。オーシャンサイズはとにかく素晴らしい。彼らはモグワイとサウンドガーデンの中間って感じで。とにかくいいライブバンドだね。そして僕ら全員、エアログラムっていうスコットランドのバンドのすごいファンだし、80's Matchboxもめったにないバンドだよ。

Q: 今度のツアーではどんな曲をやるの?

Ben: 新しいアルバムの曲はみんな演ろうと思ってる。あとファーストアルバムからのシングル曲も。でも実際どうするかはまだ決まってない・今ちょうど数週間のオフの最中で、ジャムってるから、アメリカ・ツアーまでには新曲がいくつか出来上がってるんじゃないかな。数日前、フィーダーのオープニングアクトとしてウェンブリーで演ったばっかしなんだけど。ウェンブリーってのは、イングランドではたぶん一番大きいヴェニューでね、そこで演ったんだよ。数年前だったら、ウェンブリーで演ってくれって言われても、信じなかっただろうね。ここまで来れるなんて、思ってもみなかった。すごい興奮してるよ。